システム開発を外注しようとしたとき、最初に気になるのが「いくらかかるのか」という費用相場ではないでしょうか。ところが調べても「数十万円〜数千万円」と幅が広く、自社のケースがどのあたりに来るのか分かりにくいものです。

結論から言うと、システム開発の費用相場は、作るシステムの種類と規模で大きく変わります。小規模で数十万〜100万円程度、中規模で100万〜500万円程度、大規模になると数千万円に達することもあります。金額の幅が大きいのは、機能の数・開発方法・作り込みの深さによって工数が変わるためです。

この記事では、システム開発の費用相場を、システムの種類別・規模別の目安で整理し、費用の内訳や金額が変わる理由、安く抑えるコツ、相場が妥当かを見極める発注前の確認点までを、初めて発注する方にもわかる発注側の目線で解説します。

この記事のポイント

  1. 費用相場はシステムの種類と規模で決まり、数十万〜数千万円と幅が広い
  2. 小規模〜100万円/中規模100万〜500万円/大規模は数千万円が目安
  3. 金額の大半は人件費。機能を絞れば費用は抑えられる
  4. 安すぎる見積もりは保守やテストが抜けている危険サインのことがある
目次
  1. システム開発の費用相場と規模・種類別の目安
  2. システム開発の費用相場の全体感
  3. システムの種類別の費用相場
  4. 基幹システム・業務システムの費用目安
  5. 費用に含まれる内訳
  6. システム開発の費用相場が変わる理由と抑え方
  7. 費用相場が変わる理由
  8. システム開発の費用を安く抑えるポイント
  9. 相場が妥当か見極める発注前の確認点
  10. 総括:システム開発の費用相場と発注前の確認点

システム開発の費用相場と規模・種類別の目安

システム開発の費用相場を規模別・種類別の資料で確認する様子
費用相場はシステムの種類と規模で大きく変わります。

システム開発の費用相場の全体感

まず全体の目安として、システム開発の費用相場は規模に応じて次のように整理できます。あくまで一般的な相場であり、実際の金額は機能要件によって上下します。正確な費用は要件を整理したうえで個別の見積もりで確認してください。

規模費用相場の目安イメージ
小規模数十万〜100万円機能を絞った業務ツール、簡易なWebサービス
中規模100万〜500万円会員機能や決済を含むWebサービス、部門の業務システム
大規模500万〜数千万円基幹システム、全社規模の業務システム

同じ「システム開発」でも、これだけ幅が出ます。重要なのは、自社が作りたいものがどの規模に当たるかを掴むことです。次に、システムの種類別にもう少し具体的な相場を見ていきます。

システムの種類別の費用相場

システム開発は、用途によっていくつかの種類に分かれ、それぞれ相場が異なります。大きくは、不特定多数が使うWeb系システム(ECサイト・予約サイトなど)、企業の基盤を担う基幹系システム、社内業務を効率化するオープン系・業務システム、製品に組み込む組み込み系システム、スマホ向けのアプリ系システムに分けられます。自社が作りたいものがどれに当たるかで、まず相場の大枠が決まります。

代表的なWeb系・アプリ系の費用相場は次のとおりです。いずれも、決済・会員管理・検索・メッセージといった機能をゼロから作り込むほど費用は上がり、逆に既製のサービスやテンプレートを活かすほど下限に近づきます。

Web系システム費用相場
マッチングサイト100万〜500万円
予約管理サイト80万〜500万円
ECサイト60万〜400万円
口コミ・Q&Aサイト40万〜300万円
SNS・掲示板50万〜500万円
アプリ系システム費用相場
カタログ・情報系アプリ50万〜100万円
ショッピング系アプリ50万〜300万円
通話・メッセージ系アプリ100万〜500万円
ゲーム系アプリ200万〜1,000万円

スマホアプリの費用感をさらに詳しく知りたい場合はアプリ開発費用の相場と見積もり準備もあわせて参考にしてください。次に、企業の基幹となる業務システムの相場を見ます。

基幹システム・業務システムの費用目安

会社の基盤となる基幹システムや、部門の業務を支える業務システムは、扱うデータや関係者が多く、相場も高めになります。業務システムの種類別の平均的な発注予算の目安は次のとおりです。

業務システムの種類発注予算の目安
情報サービス系約230万円
グループウェア・総務系約450万〜630万円
顧客・営業・販売管理系約840万〜970万円
受発注・生産・物流管理系約1,300万〜1,670万円

基幹システムや全社規模の業務システムは、数千万円規模になることも珍しくありません。一方で、対象業務を絞った社内システムなら数十万〜数百万円で作れる場合もあります。「基幹システムだから一律で高い」のではなく、対象範囲をどこまで広げるかで金額が決まると理解しておきましょう。

上の予算目安は、複数の部門や既存システムとの連携を含む比較的大きな案件を想定した数字です。実際には、同じ「顧客管理系」でも、まず一部門で使う小さな形から始めれば大幅に費用を抑えられます。最初から全社・全機能を狙うと相場の上限に張り付きやすいため、優先度の高い業務から段階的に広げる発想を持っておくと、予算とのバランスを取りやすくなります。

費用に含まれる内訳

費用相場を理解するには、その金額が何で構成されているかを知っておくと役立ちます。システム開発の費用は、大部分が人件費です。

内訳は「人件費(開発に関わるエンジニアの費用)+諸経費(サーバー代・ソフトのライセンス料・機材費など)」で成り立ち、その大半を人件費が占めます。人件費は、必要な人員数と期間でほぼ決まるため、開発するものが多い・複雑なほど高くなります。費用がどう計算されるか(人月・工数)の詳しい仕組みはシステム開発のコストの算出方法で解説しているので、見積書の金額の根拠を理解したい方はあわせて読むとよいでしょう。

この内訳を知っておくと、見積もりを見たときに「どこにお金がかかっているのか」を把握でき、削れる部分・削れない部分の判断がしやすくなります。たとえば設計やテストの工数は品質に直結するため安易に削るべきではなく、一方で「あったら便利」程度の機能は後回しにできる、といった見極めができるようになります。

なお、システム開発の費用は最初の開発費だけで終わりません。リリース後もサーバー代や運用保守の費用が継続的に発生します。費用相場を検討するときは、初期の開発費と、毎月・毎年かかるランニングコストを分けて捉え、数年単位の総額で予算を考えておくと、後から「想定より高かった」となりにくくなります。

システム開発の費用相場が変わる理由と抑え方

システム開発の費用を抑える方法と依頼先を検討する打ち合わせ
開発方法の選び方と機能の絞り込みで、費用は大きく変わります。

費用相場が変わる理由

同じようなシステムでも見積もりの金額に差が出るのは、主に「開発方法」と「機能の量」が違うためです。開発方法は大きく次の3つに分かれ、どれを選ぶかで費用が大きく変わります。

開発方法特徴費用の傾向
パッケージ導入既製品を導入。早く始められる安い(カスタマイズに制限)
パッケージ+カスタマイズ既製品に必要な機能を追加中間
スクラッチ開発ゼロから完全オリジナルで作る高い(自由度は最大)

「自社専用に作り込むほど高く、既製品に寄せるほど安い」という関係です。やりたいことが一般的な業務なら、パッケージやカスタマイズで十分なことも多く、その場合は相場の下限に近づきます。逆に独自性の高いサービスはスクラッチになり、相場の上限〜それ以上になります。

開発方法以外にも、費用を押し上げる要因はいくつかあります。搭載する機能の数、扱うデータ量や想定する同時利用者数、デザインのこだわり、外部サービスとの連携、そしてセキュリティ要件です。とくに会員登録・決済・外部連携といった機能は、見た目以上に開発とテストの工数がかかります。見積もりを依頼するときに、これらの要件をできるだけ具体的に伝えるほど、各社の金額のばらつきが減り、相場の中での妥当な水準が見えやすくなります。

システム開発の費用を安く抑えるポイント

費用相場を踏まえたうえで、予算を抑えるには次のポイントが有効です。機械的に削るのではなく、優先順位をつけて賢く絞るのがコツです。

第一に、欲しい機能と不要な機能を明確にすることです。要件が曖昧なまま進めると、後からの追加で費用が膨らみます。第二に、前述のパッケージ活用です。一般的な業務は既製品で十分なことが多く、スクラッチより大幅に安くなります。第三に、最初から全機能を作らず、必要最小限に絞って小さく始め、使いながら追加していく進め方です。第四に、補助金の活用です。ものづくり補助金などは採択されれば100万〜1,000万円規模の補助が得られることもあります(採択率は約5割で申請の手間はかかります)。

あわせて、開発後の運用保守費(目安は開発費の5%程度/年)も最初から見込んでおくと、トータルコストで損のない判断ができます。どの程度の期間そのシステムを使い続けるかを想定しておくと、初期費用を抑えるべきか、多少高くても拡張しやすい作りにすべきかの判断もしやすくなります。短期間で役目を終えるものに作り込みすぎない、長く使うものは保守性を優先する、といったメリハリが費用対効果を高めます。

相場が妥当か見極める発注前の確認点

相場を知ったら、目の前の見積もりがその相場として妥当かを見極めます。金額の大小だけで判断せず、何が含まれているかを確認するのが重要です。特に、相場より極端に安い見積もりは要注意で、テスト・設計・運用保守といった必要な工程が削られている「危険サイン」のことがあります。逆に相場より大幅に高い場合も、過剰な機能が含まれていないか、内訳の説明を求めて確認すると安心です。

確認すべきは、開発範囲(どこまで作るか)、開発期間、修正が出たときの追加費用の扱い、運用保守の範囲、そして検収条件です。これらが曖昧なまま安い金額に飛びつくと、後から追加費用が発生し、結局割高になります。見積もりに抜けやすい項目は見積もりの危険サインを見抜く60項目チェックシートで点検できるので、発注前に一度確認しておくと安心です。見積もりの根拠そのものを評価する方法はシステム開発の見積もり根拠をチェックする方法で詳しく解説しています。

依頼先を選ぶ際は、必ず複数社から相見積もりを取り、金額だけでなく開発範囲・実績・保守体制を同じ条件で比べてください。納品時にソースコードの著作権を委譲してもらえるかも、長期運用では重要な確認点です。委譲されないと、後から別の会社に乗り換えたり自社で改修したりするのが難しくなり、結果的に費用が膨らむことがあります。

相見積もりで比較するときは、各社の総額をそのまま並べるのではなく、開発範囲をそろえて比べるのがコツです。A社は保守込み、B社は保守別、という状態で総額だけ見ても正しく比較できません。同じ前提に揃えて初めて、どの見積もりが相場として妥当かが判断できます。金額の安さだけでなく、提案内容の具体性や、こちらの予算感に合わせた代替案を出してくれるかも、信頼できる依頼先を見分ける材料になります。