システムやサービスの導入でベンダーを選ぶとき、RFI・RFQ・RFPという似た略語が出てきて、違いが分かりにくいと感じる方は多いと思います。どれも発注者がベンダーに何かを依頼する文書ですが、求める内容も使うタイミングも異なります。

結論から言うと、RFIは「情報提供依頼書」で情報集め、RFQは「見積依頼書」で費用確認、RFPは「提案依頼書」で課題解決の提案を求めるもの、という違いです。この記事では、RFI・RFQ・RFPそれぞれの意味と求める内容、ベンダー選定の流れの中での使うタイミングと使い分けまでを、発注者の目線でわかりやすく解説します。

この記事のポイント

  1. RFI・RFQ・RFPはベンダーへ依頼する3種類の文書で、まとめてRFXとも呼ばれる
  2. RFI=情報提供依頼書(情報集め)、RFQ=見積依頼書(費用確認)、RFP=提案依頼書(提案要求)
  3. 基本の流れはRFIで候補を絞り、RFPで提案を求め、見積もりはRFQまたはRFP内で取る
  4. RFQは省略しRFPの中で見積もりを依頼するケースも多い
目次
  1. RFI・RFQ・RFPの違いとそれぞれの意味
  2. RFIとは(情報提供依頼書)
  3. RFQとは(見積依頼書)
  4. RFPとは(提案依頼書)
  5. ベンダー選定の流れとRFI・RFQ・RFPの使い方
  6. 事前調査でRFIを送る
  7. 選定準備でRFPを提出する
  8. 評価・選定とRFQ(見積)の扱い
  9. RFI・RFQ・RFPの活用で押さえる注意点
  10. RFIの依頼はメールで効率化する
  11. RFI・RFQ・RFPは省略していい?
  12. 総括:RFI・RFQ・RFPの違いと使い分けのポイント

RFI・RFQ・RFPの違いとそれぞれの意味

RFI・RFQ・RFPの違いを目的とアイコンで3者比較したフラット図解
RFI・RFQ・RFPは目的も求める内容も使うタイミングも異なる

RFI・RFQ・RFPは、まとめて「RFX」とも呼ばれます。「Request for ◯◯」の◯◯部分をXに置き換えた総称で、調達やベンダー選定の場面で使われる言い方です。いずれも発注者がベンダー(サプライヤー)に対して、サービスや製品の情報・見積もり・提案などを求める文書ですが、それぞれ目的と求める内容、発行するタイミングが違います。まずは全体像を表で押さえましょう。

文書 正式名称 目的・求める内容 使うタイミング
RFI 情報提供依頼書 ベンダーや製品の一般情報を集める(一次スクリーニング) 選定の最初。候補を広く絞り込む段階
RFP 提案依頼書 課題をどう解決するかの具体的な提案を求める(二次選考) RFIで絞った後、提案を比較する段階
RFQ 見積依頼書 製品やプロジェクトの見積もり・費用を求める RFPと同時、または提案を受けた後

大まかには「RFIで情報を集めて候補を絞り、RFPで提案を求め、RFQで費用を確認する」という流れです。それぞれの中身をもう少し詳しく見ていきます。

RFIとは(情報提供依頼書)

RFI(Request for Information)は「情報提供依頼書」を指します。発注者がベンダーを本格的に選ぶ前に、基本的な情報を集めるために送る文書です。たとえば新しいシステムを導入したいとき、市場にどんな製品があり、特徴や価格、導入条件はどうかといった情報を、複数のベンダーから同じ形式で集める目的で使います。

RFIに記載する項目は、大きく「依頼の目的」「自社(発注者)の情報」「ベンダーに求める情報」「対象サービス・製品の情報」の4つです。自社の状況や目的、譲れない条件を具体的に書くほど、ベンダーから的確な情報を引き出せます。RFIを使うと、各社の製品を同じ土俵で比較でき、選定の一次スクリーニングと公平な選定の根拠になります。

RFIの段階では候補が多いため、各社へ同じ質問項目で送るのが鉄則です。回答の形式がそろっていないと比較に手間がかかります。聞きたい項目を一覧にしたフォーマットを用意しておくと、集まった情報をそのまま比較表に落とし込め、後の絞り込みがスムーズになります。

RFQとは(見積依頼書)

RFQ(Request for Quotation)は「見積依頼書」です。発注者がプロジェクトや製品の見積もりをベンダーに求めるときに作成します。尋ねる内容は、製品の仕様、価格、数量、納期、支払い方法、トラブル発生時の補償などです。特に、不良やトラブル時にどんな条件で補償されるかは明確にしておきましょう。

RFQを出すタイミングは、RFPと同時のことも、提案を受けた後のこともあり、明確な決まりはありません。見積もりはRFPの中で一緒に依頼できるため、RFQは必須ではありません。それでもRFQを分けて作ると、社内外での情報共有が綿密になり、適正価格や相場の把握、プロジェクト後の振り返りに役立ちます。

見積もりを依頼するときは、数量・納期・含まれる作業範囲といった前提条件をそろえておくと、各社の金額をそのまま比較できます。前提がばらばらだと、安く見えた見積もりが実は一部の作業を含んでいなかった、という事態が起きがちなので注意が必要です。

RFPとは(提案依頼書)

RFP(Request for Proposal)は「提案依頼書」です。課題をどう解決するか、発注者がベンダーに具体的な提案を求めるときに作成します。RFIの回答を見て候補を絞り込んだベンダーに送るのが一般的で、発注者がベンダーの能力や信頼性を評価し、最終的な契約相手を決めるためのツールになります。

RFPは概ね「はじめに(あいさつ)」「RFPの趣旨」「要求事項(求める機能)」「予算」「スケジュール」「特記事項」で構成します。予算を記載するかはRFQの有無によって変わります。要望を具体的に書くほど、より良い提案を引き出せ、後々のトラブル防止や自社課題の可視化にもつながります。RFPの具体的な書き方や記載項目は、RFPの書き方を解説した記事で詳しく確認できます。

RFPを作るメリットは、要望を具体的に伝えることでより良い提案を引き出せること、文書化によって後々のトラブルを防げること、そして要求を書き出す過程で自社の課題が整理・可視化されることです。発注者とベンダーの双方にとって、認識をそろえる土台になります。

3つの中でも特に混同しやすいのが、RFIとRFPの違いです。RFIは「どんなベンダーや製品があるか」を広く知るための情報集めで、候補を絞る前に使います。一方のRFPは「自社の課題をどう解決してくれるか」という提案を求めるもので、RFIである程度候補を絞った後に使います。情報を集めるのがRFI、提案を求めるのがRFP、と整理すると迷いません。

ベンダー選定の流れとRFI・RFQ・RFPの使い方

RFI→RFP→RFQの順に使い分けるベンダー選定の流れを示すフロー図
RFI→RFP→RFQの順で、選定のフェーズごとに使い分ける

RFI・RFQ・RFPは、単独で使うものではなく、ベンダー選定のプロセスの中で順番に使い分けます。選定は「事前調査」「選定の準備」「評価と選定」の大きく3段階で進み、それぞれの段階でどの文書を使うかが決まります。

事前調査でRFIを送る

最初の事前調査では、自社のプロジェクトに関連する製品やサービスを提供しているベンダーを探し、候補を絞り込みます。このとき候補は10社程度が目安です。次に、その候補にRFIを送り、各社の基本情報を同じ形式で集めます。

RFIは省略されることもありますが、一次スクリーニングとして候補を客観的に絞り込めるため、活用するのがおすすめです。この段階は候補数が多いので、後述するようにメールでの依頼が効率的です。

選定準備でRFPを提出する

RFIの回答を受けて、自社の目的に合わないベンダーを除外し、残った数社にRFPを提出します。イメージとしては、RFIで一次選考、RFPで二次選考を行う形です。提案の質が選定の決め手になるため、要求事項はできるだけ具体的に書きます。

RFPの提出とあわせて、提案を評価するための項目と配点も先に決めておきます。評価軸を事前に用意しておくと、提案が出そろったときに主観に流されず比較できます。ベンダー選定全体のプロセスや評価のしかたは、ベンダー選定のプロセスを解説した記事もあわせて確認すると、流れを具体化しやすくなります。複数社を同じ基準で並べて比べたい場合は、ベンダー選定比較表テンプレートを使うと、評価項目の抜けを防げます。

評価・選定とRFQ(見積)の扱い

提案が出そろったら、内容を確認して評価・選定します。必要に応じてプレゼンをしてもらい、質疑応答で疑問を解消したうえで、数社に絞り込みます。最後に、事前に決めた項目と配点で評価し、点数が近い場合は優先順位を加味して決めます。

評価項目は、機能の充足度・費用・導入実績・サポート体制・担当者との相性などを、自社にとって重要な順に重みづけして設計します。提案を受けてから項目を考えると印象に引きずられやすいので、RFPを送る前に評価軸を固めておくことが、公平でぶれない選定につながります。

このタイミングでRFQを出して見積もりを取る場合もありますが、RFQを省略してRFPの中で見積もりを一緒に依頼するケースも少なくありません。どちらでも構いませんが、費用を同じ条件で比較できるよう、見積もりの前提(含まれる作業範囲・保守費の有無など)はそろえて依頼しましょう。

RFI・RFQ・RFPの活用で押さえる注意点

RFIやRFPの依頼方法と省略可否を確認しながら発注準備を進める担当者
RFI・RFQ・RFPは目的に応じて使い分け、省略の判断も柔軟に

最後に、RFI・RFQ・RFPを実際に使うときに迷いやすいポイントを整理します。依頼の方法と、省略してよいかどうかの判断です。

RFIの依頼はメールで効率化する

RFIの段階では、対象となるベンダーが10社程度と多くなります。担当者に一社ずつ直接会って依頼すると時間がかかりすぎるため、この段階はメールで連絡して依頼するのが効率的です。

また、対面で依頼すると後で断りにくくなるという面もあります。候補を広く集める一次スクリーニングの段階では、メールで淡々と依頼し、絞り込んだ後のRFPや提案の場面で対面のコミュニケーションを厚くする、とメリハリをつけるとよいでしょう。

RFI・RFQ・RFPは省略していい?

RFI・RFQ・RFP(RFX)の作成には手間がかかりますが、基本的には作成したほうが選定はうまくいきます。インターネット上に基本情報は載っていても、費用感は明示されていないことが多く、RFXで概算をつかんでおけば、明らかに予算と合わないベンダーを早い段階で外せます。発注側もベンダー側も、無駄な時間を使わずに済みます。

そのうえで、すべてを律儀に分けて作る必要はありません。実務では、RFQを省略してRFPの中で見積もりを一緒に依頼するのが一般的な省力化のしかたです。複数社の提案や費用を同じ基準で比較したいかどうかを軸に、どこまで作るかを判断するとよいでしょう。

たとえば、候補がすでにある程度絞れているなら、RFIを省いてRFPと見積もりをまとめて依頼する進め方も現実的です。逆に、市場にどんな選択肢があるか分からない段階なら、RFIから丁寧に始めたほうが結果的に遠回りになりません。自社の状況に合わせて、必要な文書を選びましょう。

迷ったときは、目的から逆算して選ぶと整理できます。市場にどんな選択肢があるか分からないなら、まずRFIで広く情報を集めて候補を絞ります。提案の中身で比べたいならRFP、費用を正確に把握して比較したいならRFQ(またはRFPの中の見積もり)が向いています。

一言でいえば、RFIは「情報をください」、RFPは「提案をください」、RFQは「見積もりをください」という依頼です。この役割さえ押さえておけば、自社の選定で何を一番知りたいかに応じて、必要な文書だけを選べます。すべてを律儀に作る必要はありません。